横腹の部分は新たに包帯が巻かれていた。だがこの痛み、銃弾は処理されず止血だけ行われたらしい。
痛みがあるということはこれは現実なのは確か、幻覚ではない。
ドアの向こうからコツコツと足音が聞こえてくる。俺は身体を身構えた。
扉の鍵を開け、ギィィっと重そうな音を鳴らしながらその扉は開かれた。
そこに立っていたのは煙草を右手に持っている黒いスーツ姿の和一先生だった。
「やぁ栄治君。気分はどうだい?」
「か、和一ぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
俺は衝動的になって襲いかかろうとしたが、足の縄がそれを許すはずも無く、動いた分引っ張られた。その衝撃で俺の傷に更なる痛みが与えられた。
「ぐぁあ!...ちくしょう....殺してやる!」
「そんなに声を荒らげるなよ。そんなに憎いか?それに、もう"先生"とは呼んでくれないんだな。」
和一先生はあろう事か悲しそうな目線を浴びせてくる。
「呼ぶわけねぇだろがこの人殺し!!お前のせいで一体何人死んだと思ってんだ!!」
「おいおい。殺したのは潤平君だぜ?そしてその潤平君を殺したのは君。あくまでも俺はそういう状況に持っていっただけ。最終的な判断で引き金を引いたのは君達だって。」
「ふざけんな!!人の心を弄びやがって!
...青山の夢と想いを!悪用したのは事実だろうが!!」