親不孝でごめんなさい。だけどこれは仕方がない。
自分のため、赤の他人、友達、家族、そして加奈の為に鬣犬の呪いを消さなければならない。そして青山という親友を救わなければならない。
俺は病院から出ると川新公園目掛けて全速力で向かった。
周りは既に暗闇に染まっていて、車の音がよく聞こえた。
足は遅くも早くもなく、体力は少ない方。三十分間走るのは厳しい。だが、何故か力が漲る感覚があった。背負っているものが多いのか、宿命感によるものなのかは分からなかった。
たが、漲る力と裏腹にある変化に気付いた。
自分が走っている地面が、どんどん木材へと変化していく。これは数時間前で見たもの、屋敷の床だった。
腐食でボロボロになり、今にも壊れそうなあの床の上に俺は立っていた。
そして目の前には鬣犬がポツンと立っていた。
「あっ...は、鬣犬....」
廊下内には俺と鬣犬の所しか電気は灯されておらず、奥は暗闇だった。
俺は鬣犬に唖然としていると、視界の下の方から白いモヤモヤが浮き出てきた。
俺は目線を下の方に向けると目を見開き、寒気と鳥肌が立つのを感じた。



