「....いいえ...よく分かんないです....」
鬣犬の事を言っても信じてくれるはずもなく、俺は嘘をついた。
「そうか....ぶつかったトラックの運転手さんは軽傷ですんだよ。取り敢えず君は安静にするんだよ?親御さんと学校に電話をしたいから、電話番号と出身校を教えてもらえるかな?」
俺はそのまま言われるがまま電話と出身校を伝え、医者はそのまま部屋の中へと入っていった。
二人が寝ている姿を見ていると涙が止まらない。
なんでこういう事を想定出来なかったのか、俺は責任という重しで潰れそうになっていた。
「俺が...俺が悪いんだ....ちゃんとしていれば....」
二人の看病を必死にしてくれている看護師や医者の人、俺もその中へ混ざりたかった。二人を自らの手で助けたかった。
だが、そんな事は出来ない。青山の気持ち、加奈の羨ましいという気持ちが痛い程理解していた。
俺自身の怪我は頭を少し打っただけ、念入りに包帯で頭をグルグル巻かれている。普通にしてれば何ともないのだが、やはり押すと痛みが生じている。
そして、相変わらず視界に映る鬣犬がやかましくて仕方がない。
屋敷から出てきた時よりも、もっと近くなっていた。期限は一週間というわけではなさそうだった。



