間もなく救急車が到着し、俺達は病院まで搬送されたということだ。それが何時間前だかよく覚えていない。


その事を全て医者に伝えると、医者は改まって話し掛けてきた。


「二人とは同じ高校の生徒さん?」


「えぇ。」


「運転手との接点は?」



「ネットで知り合ったんで....スポット巡りに。」


まるで警察官の事情聴取だ。それに関しての思い出は良くないものばかりだ。


「そうか...そこの二人は頭を打っただけで命に別状はない。気を失っているだけだ。
あれだけの大惨事なのに...これは奇跡と言っていい。
だが、いつ気を取り戻すか分からないし、彼女の方はもっと酷い。まるで誰かに切り付けられたような傷だ。
....出血の割に傷は深くなくて良かった。大丈夫、助かるよ。」


その言葉を聞いて、俺はポロポロと涙をこぼした。加奈は生きるか死ぬかの境だったのにこの事故、本当に不安で仕方がなかった。


「運転手の人....矢沢さんはどうしました?」


「そうか...彼は矢沢さんというのかい....彼は即死だったよ。ぶつかった時の衝撃でそのまま窓を突き破り、近くの電柱に強く頭を打ち付けてしまっていた。シートベルトをしていなかったのが原因だ。
何か急いでいたのかい?」