我慢すれば助かるとかあったが、俺はそんなのはしない。今にでも首を掻っ切って死んでもいい。
だが、それでもしないのはこの世界で悟りながら、感謝を感じながら生きていたいと思っていたからだ。

助かったらそんな気持ちはすぐに吹っ飛ぶと思っていたから。


人を助けよう、誰かの役に立とう、誰もが笑って過ごせる社会に出来る仕事、警察官になりたい。その思いも今では夢の中。結局何も出来ず、四人も死なせてしまった。

もう自分の中は空っぽだった。


すると右ポケットから音楽と一緒に振動を感じた。こんな時に電話がかかってきていた。

非通知、本来なら出ないのだが、今の俺は人の声ですら欲していた。


「もしもし...青山です。」


電話を掛けてきてくれた人物と数十分話した。俺はすぐに立ち上がり、興奮しながら山を下った。右足の痛みなど知らない、とにかく約束の場所へ急いだ。



俺がやりたかった事、俺の夢を叶える時が来たのだ。