恐怖の渦の中


鬣犬は鼻歌を歌いながら青山の側まで近付き、黒い歯を両手でいとも簡単に開かせて見せた。
開いた時に変な方向で抜けたのかは分からないが、青山は痛みの叫びを上げた。


「ぐぁぁぁ!!痛い....いってぇぞクソッタレ!!」


「贅沢言わないでよぉ〜。解放してあげたんだから感謝してよねぇ〜。
じゃあ行こうか!付いてきてぇ〜」


鬣犬は食卓の方へ歩いていく。俺はその後を追うように歩き、二人を見ることはなく足を進めていった。


食卓を左に曲がり、ドアを開けてから廊下に出た。


「一体どこに行くんだ?」


俺の問いに鬣犬は無視していた。

そして鬣犬はあるドアの目の前で止まり、部屋の中に入った。この部屋はどこか見覚えがあった。

この部屋は地下室の入り口がある部屋だ。
鬣犬は俺の予想通り、地下の入口を片手で開けた。


「ここにある人がいるの。その人を殺すことが出来たらここから帰してあげるよぉ〜。」


「ある人....?そんなのお前の得意分野だろ?何で態々俺に....」


「そんなのどうでもいいでしょ?助かりたくないの?」


俺は言葉を詰まらせ、黙って入り口の目の前に立った。

すると鬣犬は木の棒を渡してきた。