慌てふためく彼女を救ったのは、さっきから隣にいるキモい敦ではなく、教室のドアの音を響かせて入ってきた男だった。


「皆さん、早く席に着いてください。もうHRの時間ですよ。」


その男性はクラスの副担任である、静一 享先生だった。第一印象はみんな揃って"エリート"だった。白い肌に目がキリッとしている、そして顔のパーツバランスも完璧と言ってもいい、イケメンの部類に入る人だ。

今年から来た新米教師の筈なのだが、イメージ通りテキパキと行動し、まるで初めてだとは当初は思えなかった。
今までの行いがいいのか、皆はザワザワしながらでも先生の指示にちゃんと従った。

そこでゆっくりと教室へ入り教壇の上に立つ女性がいた。



「はい。じゃあ朝のHRするから日直は号令を掛けてもらってもいいかな?」


彼女の指示で日直だった青山が号令を掛け、皆はそれに従い礼をして着席する。

彼女は津地 慶子。本人は二十代などと意味の分からないことをよく口にするが、見た目的には明らかに四十代の先生だ。
整っているショートヘアに対して、あまり整っていない肌が少し違和感を感じされられる。


「じゃあ時間があんまり無いからさっさと話すね。今日は明日の学園祭の発表会の予行があるので、出番がある人はよく注意しといてね。