それはトラバサミ、狩猟に使われるトラバサミを同じ色の紙の下に設置し、獲物がかかりやすいように仕掛けていたのだ。


「い、痛ってぇぇぇ!!クソがッ!クソッタレガァァァァ!!」


悲鳴に近い叫び声を上げながら青山は右足を抑えていた。トラバサミの歯先は紙があるとはいえ鋭さは抜群、噛み付いている部分の紙が徐々に赤く染まっていく。


「青山!大丈夫か!?」


俺はすぐさま青山の元へ向かった。これは一大事、だが俺は少しだけ冷静さを保てていたようだ。

青山が引っかかった周りにも目を凝らせば、何個かカモフラージュで設置されていることに気付いた。

俺はそれらを避けるよりも退ける事を考え、紙の下に手を突っ込み、トラバサミの淵を押して一個一個確実に排除していった。
青山も俺の行動を理解してくれているのか、なるべく痛みの声を出さず、作業に集中させてくれた。


ある程度周りを排除すると、いよいよ青山の右足の救出作業をした。
周りの紙を強引に千切り、黒いトラバサミの姿が顕になった。映画やドラマ、アニメで見掛けた事は何回かあるが、本物を目の当たりにして正直ゾッとした。
こんなイカついのが足に刺さる事を想像し、寒気を感じた。