見えるのは計四つの光に照らされるものだけだ。その光自体もあまり大きくなく、イライラが増すだけだった。



「み、皆さん!これって隠し通路じゃないですか!?」


加奈の声に俺達は反応し、一斉にその声の方向へ視線を合わせた。そこには光で照らされてる加奈の顔と壁から漏れる弱々しい光が見えた。

俺達はバラバラだった光を集中させ、その壁を照らした。照らした場所は本来タンスがあった場所で、加奈がほんの少しだけ退かして見えていたという状況だ。

俺達は加奈に三つの光を預け、三人がかりで重いタンスを退かした。
タンスはズズっと動いていたが、何かにつまづいたのか、傾きそのまま倒れてしまった。

俺達は慌てたが、加奈は最初から下がっていたので被害に遭うことは無かった。


加奈が見つけた光筋は確かに隠し通路だった。ブロック状に光が漏れ、俺はそのブロックの中心を押した。

壁は隠し部屋に来たように左右に開いて、目の前には弱々しい光で照らされる、錆色の螺旋状の階段が姿を現した。


「....だいぶ古びてるけど、崩れることは無さそうだな。よし、じゃあ...」


「待て栄治君!あまり不用心に入らない方がいい!罠の可能性が高い。」


「罠ですか?ここは抜け道の筈です。野村さんが言ったんじゃないですか。「抜け道はある筈だ。」って」