真っ黒の空間には三つの光筋とガンガンと物に当たる音、そしてそれにパニックする声だけがあった。
隠し部屋の扉は見た感じからも分厚く、とてもじゃないが壊して開けるのなんて爆弾を用意しないと無理だ。
そんな事を分かっていても、青山はその壁に蹴りをくらわしたり、必死に開こうとした。
「クソッ!何で急に閉じたんだ!?それに電気も落ちた....こんなの意図的でしかねぇッ!」
「落ち着け潤平君。まずは脱出の方法を考えよう。ムキになっても事は進まらない。」
「でも野宮さん、脱出って言ってもそんなのどうやって....」
野宮さんは光を当てられながらも、さも当然のような顔をした。
「そりゃあ...抜け道しかないだろ。それ以外ないと思わないか?」
「そんな事を言っても....抜け道って....ここは緊急避難所じゃないんですから....」
「ここを作るんならこういう不具合のケースを頭のイイやつほど考えるんだ。だから、もしもの時のために何か抜け道じゃなくても手段がある筈だ。
とにかく探せ。普段目に入らなそうな隙間とか隅々までだ!」
俺達は野宮さんの言葉を始めに、机の下や棚などを調べ始めた。青山も蹴るのはやめて、近場の地面を念入りに探していた。