恐怖の渦の中


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ここで更新は止まっていた。日付を見てみると六年前の記録、これから間もなくして夫婦は亡くなったと思われる。


「....じゃあこの記録者と相棒はあれか?鬣犬を檻から出した、出てきてしまったから襲われて殺された。その時にたまたま警官が出くわしたということだよな?」


青山は息を呑みながらそう言った。


「そうだな....俺達が追っているのは鬣犬で、実験の被験者ってことか...そうなると複雑だな....」


「ど、どうして複雑なん、ですか?」


「いや、鬣犬は生きるために人を喰っていた。だから今回の件は快楽殺人とかじゃなくて、習慣に近いものになってる。
そうなると....少し同情してしまっていうか、可哀想だとも思う。

まぁ、それでも許せるわけではないがな。」


俺は身体を伸ばしながらそう言った。


「なぁ栄治君。このファイルで他のことも早く調べてみよう。今回の事件は鬣犬だとして、何故死んだ筈の彼女が襲えるのか、もしかしたらこの組織でそんな風な実験を行ってるかもしれない。」


「実験....幽体離脱とか生き霊みたいな感じの実験ですか?」


「あぁ、この組織のイカれた実験は自分達の種、人間の真理を知ろうとしている。なら、怨霊とかにも目がいくんじゃないか?

悔しいがこの組織の行っている実験は凄い。許されるべきことではないが、実験の成果は本物だ。」