でも敦や他の皆の反応からすると、まだ気付いていないらしい。
俺は吉永の前に里沙に気付いたからこそ分かったのだ。
それは里沙は相変わらずのサラっとした髪の毛をしているし、清潔感が漂っていた。だが、彼女の目にはクマがあったのだ。
それが二つ目に驚いた事だ。タダのクマなら寝不足だったりと思える。だが、俺はあのクマにはまた別の意味を感じ取った。何か良からぬ事のように思えてならない。
里沙は少し減った女子の軍団を引き連れて自分の席へゆっくりと座った。周りの女子も段々と減ってきているので、その間から里沙がチラッと見える。
里沙の目は何処と無く生気を感じられず、周りをキョロキョロとしていた。それは近くの女子に向けられたものではなく、何か別の恐怖に怯えていると言った感じだ。
そして前よりか目線が下であまり皆と目を合わせたがらない。まるで加奈のような、加奈より酷いキョドり方。
里沙はちょくちょく手で目をみんなに隠す行為をした。このクマに関しては里沙も自覚しているらしく、いつもの自分に戻ろうとしたが、クマは取れなかったという推測が一番あっているのかな?
俺はこんなに違和感を感じたのにも関わらず、皆は笑顔で里沙を出迎えた。里沙がいつも通りに学校へ来てくれた嬉しさや、心配が解れたからなのか、歓喜で胸がいっぱいらしい。



