この死体を集めているのは一体誰なのだろうか。女の人という線は薄いかもしれない。もし女の人がそうなら、理沙と千恵の死体もここにある筈だ。だが、千恵は分からないが理沙はもう埋葬してある。
だが、女の人の殺し方と酷似している点が引っかかっていた。
"はぁぁぁ....こわい?"
頭の中が考え事でいっぱいだったが、その一言が耳から入ってきた瞬間、頭の中は一気に真っ白になった。呼吸は荒くなり、汗が大量に放出され、寒気を感じ取った。
耳元で優しく不気味に放ったその言葉、あまりにもリアルで瞬間的に俺の命の終わりを悟った。
息が当たる生暖かさと、鼻を強く刺激する臭い、そしてその存在感、すぐ隣に顔があると直感で理解していた。
いざこういう状況になると人間は不思議なもので、ビビるのではなく命の終わりを確信した時には過剰反応という選択肢はない。身体が蛇に睨まれた蛙の如く一ミリも動くことが出来なかった。
俺は心の中で"ヤバい"と感じ取っていても、無理矢理にでも見ようとした。身体の硬直も徐々に解けていき、少しづつだがすぐ横に振り返った。
だが、そこにあったのはコンクリートの壁。ここの地下室と変わらない古びた壁だった。
「ハッ、ハッ、ハッ!はぁぁ....うっぷ」
俺は極限の緊張状態から解放するとその場で崩れ落ち、一気に胃から胃液が上に上がってきて、その場で吐いてしまった。



