通路を通り終わると、全員がこの村を目にし、その存在感に圧倒されていた。
木々に囲まれ、人っ子一人もいないこの村は、不安や不気味さなども入れ混ぜたような雰囲気を出していた。


「ここが...."泉岡村"か。情報によれば元より外との交流がなく、家は全壊しない限りは自分達で治して家を守っていたと言うが...
噂には聞いていたが、こんな感じなのか。まるで浦島太郎にでもなった気分だよ。」


野宮さんはそんな事を呟いた。確かにここの村は現代社会ではまず見ることが少ない、古びた建造物ばかりだった。家や井戸、朝礼台なんかもサビや植物で今にも壊れそうな感じがした。


「な、何か今にもお化けとかが出てきそうなんだけど....」


吉永がそんな事を呟くと、加奈は俺の足音にも敏感に反応するようになり、首が飛んでいきそうな程周りを見ていた。


「加奈...いくらなんでもそこまですることなくない?」


「す、すいません....私、こういうの苦手で....本とか文字なら好きなんですけど、映像とか実際に見るのはどうも....」


「なにそれ、それじゃあなんでこんな事に加奈は参加してるの?」


吉永はニヤニヤしながらそんな事を聞いた。
加奈はモジモジしながらわかりやすい程困っていた。