すると、押している手がどんどん上に上がっていくのが分かり、勢いよく上がったと思ったら、光が通路と俺の目に差し込んできた。


俺は目を薄めにしながらも、手の力でその通路から抜け出して、外へ出た。


目が段々慣れてゆき、目の前の景色がハッキリとしてきた。

そこは矢沢さんが言った通り町だった。建造物にはコンクリートの壁同様に植物が生え、壁が変色して、かなり傷んでいるのが遠くからでもわかった。
六年前、いや印象的には江戸時代に来たようにも思えてしまう古い建物ばかりだった。

人どころか動物も見えなく、本当に廃村というイメージが強いと感じる。

そのやけに静かで異様な村を見て、俺はブルっと身体を震わした。