恐怖の渦の中



俺は恐る恐る聞いた。何か怖い返答が来るのではないかと、心構えしながら聞いた。
敦は目の前に拳を作り、その一点を見つめて言った。


「....女の人を、もしくはあの犯行を援助している人間を全員殺す。俺は理沙ちゃんや皆の敵を討つ。もし女の人が殺せない、幽霊的な存在でも関係ねぇ。必ず成仏の方法を見つけ出し、最高級の苦しさを与えてこの世から消し去ってやる。

...理沙ちゃん...笹委員長や月璃は何にもしてねぇ。なのにあんな無残に殺されて恐怖を植え付ける、俺は....絶対に許せねぇッ!....」


敦の覚悟は俺の予想の斜め上を行くものだった。敦はこんな時に冗談をいうやつじゃないのは勿論、敦の目は覚悟と憎しみで満ち溢れていた。

吉永の理由を明確化したもの、吉永と似ているがその差は天と地の差だった。吉永でさえ、敦の覚悟には唾を飲み込んだ。


棒立ちだった俺の肩をポンッと叩いて、青山は小さな声で耳元で言った。


「唖然とするのも仕方が無いが、敦を行かせなかったらアイツは後悔するぞ。俺は行かした方がいいと思うが、その判断は本澤の親友であるお前に託すよ。」


個人的には敦を連れていきたい。親友として、あいつが後悔するようなこと、もう苦しませたくないからだ。だが、ここでアイツを止めるのもまた親友である俺でしか出来ないこと。