「おぉ。またまた珍しく栄治が人間っぽい台詞を吐いたな。だけど栄治、俺に缶コーヒーを奢ってくれたのと結構話がズレたな。」


俺が折角奢った上、こいつはタダでさえテンションが下がっているのを気にして言ったらこのザマだ。敦は湯気が立つ缶コーヒーを啜りながらニヤニヤとしていた。


「うるせぇな〜。とにかく明後日は楽しもうってことだよ。」


「んなの無理に決まってんだろ?俺のアイドルである里沙ちゃんが来てないんだぞ?あぁ....今思うとコーヒーがゲロ不味く感じてしまう....」


俺が必死に避けてきたキーワードをこいつは意図も簡単に口にし、一人勝手にテンションを落としやがった。

俺はため息を吐きながら渋々敦の背中を叩いた。


「大丈夫だって。里沙も学園祭参加したいに決まってるって。もしかしたら当日か明日になったら来るかもしれないだろ。」


「...そうかもな....ありがとな"本煩悩"」


最後の言葉に引っかかってキレそうになったが何とか抑えた。

流石に四日も学校に来ていないとなると、話したこともないのにタダのクラスメイトな俺でも多少心配する。

俺はコーヒーを啜りながら空に輝く星を見上げながら、想像もつかない里沙の現状を悟るように考えた。