結局授業は始まってしまい、その中で見定めることになった。授業はさっきのようなざわめきはほぼない。つまり、対象者を特定しやすいのだ。
授業の担当の先生も重い空気を出していた。それもその筈、二人も死者を出しているクラスにどんな感じで授業を行っていいのか、想像すらつかないだろう。
俺はノートに黒板の字を書きながら、隙を見て周りを見渡した。全員あまりいい表所ではないまま、ノートにすがっていた。一人を残して....
その一人を見た瞬間、俺はすぐに対象者と気が付いた。
そいつは月璃 乃那だった。
汗を垂らし、お馬鹿で評判ある月璃がノートに集中していた。まるで他の場所に目を向けたくないかのように...
顔も真っ青で、ペンを持っている手をガクガク震わせていた。
青山と加奈の方に視線をやると、二人とも分かったようで、目線が合うと頷いてみせた。
逆に月璃以外にそんな反応を持った生徒はいない。千恵の死に際を見た人は居ないということは、恐らく女の人行き着くところは、理沙の死を見た俺達だ。
だからこそクラスメイトと断定でき、今回の対象者は月璃と言えるのだった。
授業の終わりのチャイムが鳴ると、クラスメイト全員が教科書やらノートを片付け始めた。



