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冷たい風が俺の肌を刺激してくる。それが嫌でもあったが同時に良くも感じる。今俺の右手には買ったばかりの暖かい缶コーヒーが握られている。外が寒いおかげでこの缶コーヒーを握っていると幸せさえ感じてくるし、"今日の学校が終わり"としみじみと思う。
校門の所に背もたれして、普段なら携帯か本でも読んでいるところを俺は空に映る、綺麗な星空を眺めていた。

やはり絶景を見ると心を落ち着ける。そこに深い感情は無いがついつい時間を忘れてぼーっと見る。その何気ない時間が俺にとっては楽しいものだ。


「おーい。待たせたな。」



「遅いんだよ。早く帰ろうぜ。」



「いや〜。コーヒーご馳走様でした。すっげえあったけぇ〜」


俺が買ってやった缶コーヒーを敦は恋人のを抱いているように、両手で持ちながら頰に当て、幸せそうな表情を見せた。


「...そういえば何で奢ったりしてくれたんだ?珍しいじゃねぇか。」


敦は歩きながらそんな事を聞く。俺は敦が隣へ来ると同時に返答し、歩いた。


「ほら、もうそろそろ学園祭だろ?"練習お疲れ様"ってやつだ。練習は厳しくて頭から離れてるが、俺達は学園祭を楽しめるのはあと二回だけってことだ。千恵どうこうより学園祭を楽しむのがいいと思うんだ。」