店員の声に店内の音楽、そんな雑音が今まで以上に感じるようになっており、それはいつもなら集中出来ていた漫画で集中できなかったからである。

いつも丁寧に扱っていた自慢の髪もあまりの苛立ちに乱暴にかいた。整っていた髪の毛も今ではボサボサ。そのボサボサになった髪の毛が自分の視界に入り込み私は一人で苛立つ。


この髪の毛が憎たらしい!この苛立ちと"あれ"を無くしてくれるんだったら私は丸刈りにしても構わない!!


私は本気でそう思った。それ程の苛立ちと恐怖に支配されかけた私は、何でもいいから解放されたかったのだった。
私はその苛立ちを漫画雑誌に無意識にぶつけていた。ページを思いっきり掴み、このままビリビリに破きそうになっていた

すると右肩をポンポンと叩かれ、その勢いに任せてキッと睨みつけた。
そこには顔見知りの若い青年の店員さんがいた。青い髪の毛をチラつかせ、整った顔だが私を見るなり少し険しそうな顔をした。


「あの...里沙ちゃん?どうしたの?レジから見てたけど何か怒っているように見ててさ。」



この店員さんが私の名前を愛想よく呼ぶのに特に抵抗はない。何故ならこんなのはよく言われるし、私自身が教えたのだ。名前は分からないが苗字は店員カードに書いてあるのでそれで呼ばしてもらってる。高橋さんだ。