恐怖の渦の中



加奈のこの慌てぶりはいつ見ても飽きない。自然と笑顔がこぼれる。それは呆れた笑みなのかどうなのかは分からないが、悪くない気持ちになる。


「よし。じゃあ取り敢えず今日は帰ろう。青山には俺が連絡する。明後日の学校で対象者探しをするってことでいいか?」


加奈はさっきの勢いのまま、激しく頭を縦に振った。

それを確認すると、俺たちは病院から姿を消した。

そこからは別れてそれぞれ家に向かった。家に向かう途中で、青山に電話した。
吉永のこと、闇の住人のことを何一つ隠さず伝えた。

吉永のことはあまり良くは思ってはいなかったが、なんとか納得してくれたし、明後日の件に付いても了承してくれた感じだった。


その日の夜と翌日は女の人で動くことはなかった。「何を呑気なことをやっているんだ?」っと言われても仕方が無いのだが、俺にとってはとても休まる時間だった。

千恵との戦闘や死、理沙と千恵を助けられなかった罪悪感、警察には怒鳴られ、何度も心臓が破裂するような経験を多くされた。

休むならしっかり休むと心の中で言い聞かせ、ダラダラしながらも深い眠りについた。
女の人のことを考えないでの休暇は、とても充実して楽だった。