恐怖の渦の中


女の人が生きていたら、きっと"殺す"だろう。だが、指摘して違ったら申し訳ないし、もしそうなりそうなら止めればいい。

俺は言葉を喉元に引っ掛けさせ、沈黙で答えた。

すると、吉永は両足を上げて勢いよく立ち上がった。水色の病院服で夕暮れの風を全身で受けながら、日を見つめていた。


「よし!うん、今日は教えてくれてありがとね。私も頭の傷を早く治して、解決に加わるよ。お医者さんも「すぐに治る」って言ってくれたことだし、結構早めに参加できるかも。
さっ、今日は帰って?時間も時間だし、私もそろそろ休みたいんだ。」


「あ、あぁ。邪魔したな。加奈、行こう。」


俺が一声かけると加奈は母親と離れない子供のように、すぐ後ろを着いてきた。俺達は夕暮れの空を見ている吉永を背にして、屋上から出ていった。


病院の出口に俺達は無言のまま足を踏み入れた。するとそこで、加奈は指で腰辺りをツンツンツンっと突いてきた。


「ん?なんだ?」


「あ、あの...メールって届きましたかね?あれからまぁまぁ時間空いてるんで....その、来てたりしませんかね?」


「あぁ、そうかもしれないな...少し確認してみるか。」


俺達は出かけていた足を戻して病院内のロビーで適当に椅子に座ると、カバンからノートパソコンを取り出した。