俺は足をピタリと止めた。頭がいっぱいになっているのもあるのか、加奈の言うことが理解出来なく、頭に血が上っていくのが感じられた。


「加奈、じゃあお前は吉永を危険な目に合わせても平気ということだな?青山とお前は違う。必要な情報を持っていたし、それを共有する必要があったから喋ったんだ。
だが、何も知らない吉永をこっちに誘い込むのはどうなんだ?え?」


「へ、平気とかそんなんじゃなくて....」


「だったらなんなんだ?俺は一早く解決させるために行動してるのに、お前はそれを止めるのか?
それに吉永に話した所で本気に信じて貰えなかったらどうするんだ?面白半分で噂を流されて、本来出るはずのなかった犠牲者が出たらどうするつもりなんだ!?」


加奈は手を腹辺りの位置でモジモジさせながら、顔を地面に向けた。少しは言い過ぎたとは思ったが、俺は間違っていないと心の中で何度も唱えた。
俺は披露を感じながらも足を踏み出した。


「....分かったんならもう帰るぞ?おれたちにで」


いきなり右手を引っ張られた。正確には右腕の裾を引っ張られていた。加奈は先程、モジモジとしていた手を俺の裾にギュッと小さい手で掴んでいた。
顔は相変わらず、やや下を向いていた。