「ふーん。まぁどうでもいいや。俺ちょっくら自販機行ってくるわ。」



それだけを言い残すと敦は弁当をしまい、机をちゃっちゃと戻すと財布を手と一緒にポケットの中へ閉まって、教室を後にした。

俺はまだ残っている弁当を口に含めるとさっさとしまって、本を取り出した。さっきの休み時間で読めなかった気になる続きを早く読みたかった。

ようやく入れ世界に感激し、いつもよりのめり込むような感じで本に釘付けになった。



結局六時間目までの授業は気持ち良く受けることが出来た。昼に読んだ内容が想像以上に良くてストレス発散にも繋がったのだろう。何か溜まっていた物が出た感じを覚えた。その予想外の展開に対しての想像や作者に対して敬意の感情で一杯だった。

まさかあんな所で出てくるとは...作者は何でこんな展開思い付けるんだろうか....?

そんな疑問と好奇心で心がいっぱいになっている内にいつの間にか放課後のチャイムが鳴り響いた。俺はさっさと鞄を手にすると気持ち良さそうに寝ている敦を知らんぷりして、帰ろうとした。
だが、教室のドアに手を掛けようとした時に誰かの腕がそれを捕まえた。

その腕に目をやるとそこには赤色の眼鏡を掛けて、ショートカットがとても似合うクラスのリーダー笹井 千恵がキツめの眼光を浴びせながらじっと見つめてきていた。