「い、いいや...千恵の時は物が下に散乱してたし、机とかが倒れてた。あいつの部屋にあったぬいぐるみもズタズタに引き裂かれて、ゴミみたいに捨ててあった。」
「じゃあ、この壁は笹井の部屋でいうぬいぐるみってことか。こんな切り傷を残すのに置いてある物に当たらないのはほぼ有り得ない。きっと、こんなに整理整頓されてんのは警察か母親がやったんだろう。
荒れているのをそのまま放置って訳にはいかないだろう。」
「じ、じゃあ...女の人の手掛かりがあっても...け、警察が持ってっちゃったのかな?」
加奈がビクビクしながら喋ると、あからさまに青山は舌打ちをし、加奈に背を向けた。それに対して加奈は申し訳なさそうな顔でいっぱいだった。
「...それはないと思うよ。青山が調べてくれたデータファイルにはそんな情報は無かった。第一、幽霊とか呪いとかを信じる程警察も暇じゃないだろう。もし、理沙が何か書き残していたりしていたら、警察の方で保存はしないでこの部屋に置いてある筈だ。」
俺は本棚にある多数の本を一冊一冊、入念に確認した。本と本の間にあるのか、栞のように挟んでないか、裏表紙に挟んでないかなどを。
だが、俺の努力は一瞬にして崩壊した。
「おい、西条。普通探すなら勉強机だろ?すぐ見つかったぞ。」



