理沙の部屋の中は物が整っていた。ベットもグチャグチャではなく、本もしっかりと本棚に収納してある。緑色をしているカーテンに関しては新品のようだ。
他の人と大差ない、それ以上に綺麗な部屋だ。千恵とは違って床に物が散乱している部屋とは比べ物にならないほどのものだった。
だが、それでも俺はある一点の事に目がいき、唖然とし棒立ちだった。
青山は棒立ちの俺の横を通り、壁を前にして学者のような顔付きで観察した。
「.......これは....」
青山は壁を撫でながらボソッと呟いた。正確には壁ではなく、壁に付いてある傷を人差し指で沿っていっていた。
理沙の部屋は整理整頓がキチンとしてあるにも関わらず、壁の傷が尋常じゃないくらい多かった。端から端までビッシリと、白い壁に茶色の切り傷が無数にあった。
綺麗なのに綺麗じゃない、そんな矛盾している部屋の空間は決して居心地がいいものではなかった。
「こ、これが矢野さんの部屋?...な、何なの?この...切り傷?」
加奈は虫嫌いなのに芋虫を触ろうとするかのように、指先を震わせながら切り傷と数センチの空間を開けながらなぞった。
「...おい西条。これは笹井の部屋でもこんな感じだったのか?」



