いきなり掴まれて驚いたのか、一瞬顔が硬直状態になったがそれはすぐに解けて、子犬のように弱々しいが愛らしい顔になっていく。口をギュッと閉じて、頬は薄ピンクを浮かべていた。
眼鏡のレンズから見える潤った目と視線が合って、不覚にも心が飛び跳ねる感覚を得た。その目に吸い込まれているせいか、加奈が振り返ったせいなのか、俺と加奈の顔は近い状態にあった。俺は全くと言っていいほど気が付かなかった。
俺と加奈はお互いの目を見る事しか出来なく、甘い香りが脳を誘惑し、時が止まっているような感覚を抱いた。
するとそこで前から光が差し込んできて、俺の視線は加奈の目からその光の方へ向いた。するとそこには目を点にした青山が立っていた。
加奈は俺の表情を見たのか、俺が見てる方向を見ると「あっ....」っと言葉をこぼす。
青山は目を点にしたまま俺と加奈の顔を何回も往復して見ると、段々と口角が上がっていく。俺は瞬時に"やばい"っと察した。
「これはこれは。なんかお取り込み中だったかな?あぁ、西条。俺はあと一時間後にまた出直してくるわ。
大丈夫だ。俺は変には思わないから、人なら通る道だからな。
じゃあ、二人で仲良くやってろよ〜またな。」
「ちょ、待てよ!青山ぁ!!」



