恐怖の渦の中


リビングのソファーに加奈を座らせ、お茶を用意してやった。


「それで、話ってなんだ?」


「うん....あっ!い、今家の人って...いるの?」


俺の質問を二度も無視したことにイラつきを覚えたが、我慢して答えてやった。


「い、いや。今は誰もいないけど。」


「え?いないの?良かった....あっ!い、いや!そういう意味じゃないけど...そういうってそういうことじゃなくて....でも嫌ではないんだけど....」


意味不明な事を連呼しながら両手をバタバタと振って見せた。その慌て様に呆れを通り越して笑いが込み上げてきた。


「そ、そんなことより話ってなんだ?わざわざ家まで来たんだ、何の話だ?」


「あっ....うん。さ、笹井さんの事なんだけど....」


加奈はバタつくのをやめ、かしこまって聞いてきた。


「に、西条君は笹井さんが亡くなる前までの数日間、結構一緒にいたよね?...矢野さんの時も....あっ!べ、別に疑ってるとかそんなんじゃなくて....ただ、西条君は何か知っているのかな?って思って....」


「....俺はなんにも知らないぞ?いや、知ろうとした。だから千恵と一緒にしばらく行動してたんだ。千恵の保健室での一言が気になったからな。だけど....俺は何もしてやれなかった...」