恐怖の渦の中


「....じゃあ謙三さんは彼は何も知らないとでも言うんですか?」


「そうは言っていない。やり方を間違えていると言っているだけだ。分からないかね?今日は帰らしてやりなさい。また後日でもいいだろ?彼からしたらクラスメイトが二人も亡くなり、警察から怒鳴られたとなったら精神的にも辛い状態だ。
その際に思い出すことがあったり、言えないことを言える勇気を持てたら話してもらうといい。今度はやり方を間違いないでね。」


野宮さんは何も言い返せず、渋々「分かりました」っとだけ言い残し部屋を出た。坂目さんは謙三さんに頭を下げると、慌てて野宮さんの後を追い、部屋には俺と謙三さんだけになった。


「じゃあ西条 栄治君。ご両親には既に連絡してあるから迎えに来るはずだよ。後、私の息子が君に会いたがっているんだが、ご両親が到着するまで会ってやってはくれないか?息子は受け付けの所で座っているから。」


「構わないですけど、一体誰ですか?」


「あぁ、これはごめんね、紹介が遅れた。私はこういう者です。」


謙三さんはそう言うと胸ポケットから名刺を取り出して、差し出してきた。
俺はその名刺を座りながら両手で受け取った。その名刺には"青山 謙三"っと書かれていた。
俺は衝動的にすぐに名刺から謙三さんの方へ向いた。