そこからは少し小太りの白髪が目立つ男性が現れた。黒い高そうな靴を鳴らしながら、こっちを見るなりニコニコとしていた。
「あ、謙三さん。」
「野宮君、そんなに攻めるもんじゃないよ。彼は学生だぞ?学生には学生なりの接し方ってもんがあるんじゃないのかね?」
「ですけど、彼は明らかに情報を隠してるんですよ。報告書を見ても一目瞭然でしょう?」
「ん〜。確かにその子は何か知っているのかもしれないな....」
謙三と呼ばれた男性は顎を撫でながらこちらを見てくる。だが、野宮さんとは違い笑顔は絶えなかった。
「だが....それは確定的なものではない、絶対に知っていると思わせる証拠ではないだろう。違うかね?」
「それはそうですが誰がどう考えたって疑い深いですよ?」
「そうだね。だけど怒鳴り散らすのはまたそれとは別だろ?もし何も知らなかったりしたら、彼はトラウマを持ってしまい警察全体のイメージダウンに繋がるという可能性は考えないかい?まだ確定しているならまだしも、これはあくまで憶測の範囲内だ。」
謙三さんの言葉に明らかに納得の出来ていない野宮さんは、謙三さんの見えない机の影で拳を作っていた。立場上逆らえないのは明らかだった。



