恐怖の渦の中


そんな事を指摘するのは置いといて、俺達は学校へ向かうため靴を履き替え、家を出た。
家に出た直後にある事に気付いた。家の前に黒塗りの車が駐車していて、俺達が家から出た事に気付くと、運転席と助手席から二人大人が出てくる。
野宮さんと坂目さんだった。

野宮さんは俺の包帯姿を見るなり、穏やかな顔がすぐに険しく変わった。


「やぁ栄治君。こんなところで会うとは奇遇だね。どうしたんだいその包帯。学校にいた時はそんなもの付けてなかったろ?」


「...ずっと俺に付いてたって事ですか?」


「ずっとでは無いけど程々にって感じかな?俺達は刑事だからね、署に戻って色々とやる事がある。でも、栄治君は大体予測できた事じゃないの?」


「ね、ねぇ西条君。この人達は?」


千恵は警戒しながらこちらに聞いてきた。


「警察の人だ。前にここに自転車で来る前に話とか聞かれたんだよ。まぁ、色々あって警戒されてるっぽいけど...」


「あぁ、これは挨拶がまた遅れてたね。初めまして笹井 千恵さん。私捜査一課の野宮と坂目です。矢野 理沙さんについての聴き込みをしていてね、栄治君に付いてけばもしかしたら君とこうして会えるかなって思ってたんだが、良かった。学校には昨日行ってたらしいけど、私達はその日はあいにく署でね....」