血の量も量で、すぐに浸透していくのが分かった。
「私はなんて事を....西条君を殺そうとしたなんて....もう嫌だ....こんな生活もう嫌だぁ....誰か助けて....助けてよぉ....」
「....もう大丈夫なのか千恵?」
千恵は大粒の涙を流しながら小さくコクリと頭をうなずけてみせた。
「そうか....お前が無事なら何よりだ。そんな事より千恵、さっきの事を話してもらう前に綺麗なタオルか包帯が欲しいんだが、あるか?」
「....うん。分かった。」
千恵は片手で止まらない涙を拭いながら、ゆっくりと立ち上がった。
部屋から出ていくと、俺はある程度の距離を保ちながら千恵に付いていくように階段を降りる。
ぬいぐるみの皮も限界のようで、血がポタポタと床に落ちていく。
階段から降りてみると千恵は周りをキョロキョロと必要以上に警戒していた。
医療知識や対策を全く知らなかったが、とにかく傷口を絆創膏で無理矢理防いだ上に、包帯をテーピングでくっつけた。傷口そのものを防いだので、血はあまり出ないし、ばい菌も入ってきたとしても少しだろう。
処置を終えたリビングで少し休むと、俺は千恵に話し掛けた。
「千恵。さっき起こったことを一から全部教えてくれ。」



