「そんなんじゃねぇって!さっきまで授業でスマホ使えなかったんだよ!」


「そんな言い訳並べないで早く来てよ!!切羽詰まってるの!どうしてわから....い、嫌だ....嫌だぁ!やめてよ!!近寄らないでぇ!....来ないで来ないで来ないでぇ!!!!!」


千恵は耳鳴りが起きそうなくらいな叫び声を上げると、次には激しい物音が聞こえた後、強制的に電話が切られた。

俺はすぐに振り返って、保健室とは真逆にある生徒玄関まで急いだ。途中他の生徒と肩をぶつけてしまうが、そんなのは意識の外だった。
靴を履き替えて校門を勢いよく飛び出すとクラクションが鳴り響く。すぐ左を見ると車が急接近しているのを一瞬で理解して、走らせていた足をすぐ後ろの方へ蹴り、何とか接触を免れた。
息を切らしながら周りを見えていなことを悟り、頭を冷静にさせようと大きくため息を吐く。

ある程度冷静になったと感じると、今度はちゃんと注意しながら千恵の家一直線に走った。

千恵は今まである程度自分を保っていた。学級委員のように所々強気を出してくれていた。だが、今回は違う。本当に切羽詰まってる様子で心の端で思っていた事を容赦なく言ってくる。心配していたからこそ、さっきの言葉は結構深く傷付いた。自分が今までやってきた行いが全て降り掛かったと自覚した。