「...千恵には一応連絡いれとくか....」
俺は歩きながら切っていたスマホを立ち上げた。さっきまで真っ黒だった画面が一気に白く光って、目をつい閉じてしまう。
返信は無くてももしかしたら見ているのかもしれない。和一先生が理解者になってくれれば千恵が少し安心になるんじゃないかと思っての事だった。
白い画面は暫くするといつも見るロック画面に映った。背景にも何も写真や画像を貼っていなく、至ってシンプル。購入時から変えていなく、敦からちょくちょく弄られることがあったのを思い出す。
しばらく時間だけを映していたロック画面だったが、次第に通知で埋め尽くされるようになった。最近迷惑メールが多く来るようになって、またいちいち消去なければならないので自然にため息が出る。だが、迷惑メールの中にはアホらしい内容のやつもあるので、それを見るのは少し楽しみであった。
下へとスクロールして見ていくと、ある事に気付いて俺はスマホ画面を凝視し、足を止めた。
それは千恵からの返信があったからだ。だが、ただ返信が返ってきた訳ではない。何十回も電話をかけてきて、文字でも「助けて!」っと何度も何度も送ってきている。
返信を送ってきたのは約二十分前、今もまだ千恵は文字で助けを求めるメッセージを嫌がらせの如く送ってきていた。
俺は慌ててロックを解除して、千恵に電話を掛けた。



