結局大した収穫が無いのに対して不安が余計増してしまった中、朝には学校へ向かって授業を受けている。
昨日よりかはもうクラスの殆どが登校していたが、里沙を除いて三つの机は寂しそうにポツンとある。
千恵と敦、そして吉永の席だ。千恵と吉永は仕方ないとして、敦はまだ心の傷は深く刻み込まれているらしい。
学校の校則で、昼と放課後以外は携帯は使えない。なので、昼の時間になるとメールや電話で千恵と敦に何とかコンタクトを取ろうとしたが、相変わらず出る気配はない。俺は何も出来ずにおめおめと午後の授業に出席していた。
俺は授業を受けながら無力感に包まれていた。調べても何も出来ず、苦しんでいるやつを助けることも出来ていなく、ただ指をくわえて見る事しか出来ていない。
「....まだ何も分かんねぇけど、和一先生に頼るしかないのか....」
自然と独り言がポロッと口から出た。
和一先生は女の人の情報を知っているのか知らないのか曖昧だし、知っていたとしても味方かどうかも分からないので、手を出しにくい存在になっている。だが、そうも言っていられない状況になりつつあるのも自覚していた。
いつも聞いている放課後のチャイムが鳴ると、俺はすぐに荷物を持って和一先生がいるであろう保健室に足を向かわせた。



