俺達は津地先生の指示で二列に並ばされ、光の外で待機した。校長先生や教頭先生は既に現場に来ていて、津地先生と静一先生は頭を下げたりして、話をしている。
今日は天気予報ではいつもより少し暖かい日だと聞かされた。だが、学園祭前日の夜に比べれば、今は極寒の地にいるかのように寒かった。寒すぎる。
うっすら見える星々が徐々にハッキリとその姿を現している所で、扉がゆっくりと開かれた。中からはこれまた黒い服を来た綺麗な女性が現れた。
「皆様。時間がまいりました。これからは外ではなく中で二列でお並び頂けるよう、お願い申し上げます。それではこちらの方から順にお入りください。」
女性はすぐ近くにいた白髪を揺らすおじさんをエスコートして中に入れると、次々に施設内に歩き始めた。
室内に入るとヒーターの適度な暖かい空気と同時にお経が俺たちを出迎えてくれた。黒の行列の先には大人が二人涙を流しながら頭を下げる。恐らく里沙の両親だろう、母親の方はどこか見覚えがあった。
お経が聞こえて里沙が死んでしまったことを改めて実感しているのか、すすり泣きが後ろの方から聞こえてくる。俺の隣にいる加奈も目をトマトのように赤くして、涙を流していた。
周りを見回してみるが、予想通り敦の姿は見えない。



