チャイムの音が聞こえると、自然と保健室の中には会話は無くなった。
俺は軽く息を吐いて質問に応じた。
「どうですかね?都市伝説のテレビ番組でよく特徴の似た人がいたんで...」
相変わらず俺の答えと同時に和一先生は俺の目から視線を逸らさなかった。だが、俺は至って冷静だった。
「うん....そうか。確かあれだよね?最近話題の"都市伝説をドラマ化"みたいなやつだね。俺もよく見ているよ。
じゃあ俺も少しやらないといけないことがあるから失礼するよ。栄治君も授業へ行きなさい。」
そう言い残すと和一先生はさっさと保健室から出ていった。俺は和一先生の未知なる知識と共通の趣味があったのか、怖いのか嬉しいのかよく分からない感情に支配された。
和一先生が保健室から出たあとに、保健室の先生もベットからひょこっと顔を出してきた。
「何話していたの?二人でこそこそと」
「....別になんでもないです。プライベートの話ですよ。」
「あ、そうなの?まぁそんなことはどうでもいいとして、西条君は早く授業に向かいな?笹井さんは大丈夫だから。」
俺はペコりと小さく頭を下げると、早歩きで教室へ向かった。



