「流石栄治。俺のこと良くわかってんじゃん。もうマジで限界なんだよ!里沙ちゃんはいつ復帰すんの!?それだけが学校の楽しみだってのに...」



「はぁ〜。それ何回目だよ!もう何十回も聞いたぞその話!仕方がない話だろ?ただの体調不良とかそんな軽いもんじゃないんだから!」




「...やっぱそうだよな〜。人が目の前で死ぬ所を見ちゃったもんな。相当ショックだよな。...こんな時に手を差し伸べたいけど、俺あの子のメールも家も知らねぇんだよな....」



同じクラスメイトの矢野 里沙を常に気にしているストーカーじみたこいつは本澤 敦。何でも高校の入学式で一目惚れをしたらしく、幼馴染である俺に気持ち悪い程相談してくる。中学時代にはこんな事は無かったのだが、高校になってこんな一面を見せられると少し来るものがあった。

それが二年続いて今がある。この二年間、敦の口から出るのは五割が里沙の話題だ。なのに未だ本人との発展はなく、すれ違いの"おはよう"とか授業で分からない所を教えてもらう程度。傍から見た笑ってしまうような状況だった。

だが本人は何とかしようとしているが、目の前にすると緊張して銅像のように硬くなり動けなくと言う。俺はそんな敦をバカにはするものの応援はしていた。