視界一杯には漫画のコマで埋め尽くされていた。
自分が好きな漫画であり、今世間でも大人気を誇っている程だ。言わいる"バトル漫画"と言うものだったが、人気の秘密は過激なバトルシーンとその合間に挟んでくる茶番だ。この温度差で笑ってしまう人も多く、私もその一人だった。
この漫画を読むと奮闘し、興奮し、思わずニヤけてしまう。だが、今の私のテンションは最悪そのもので、どんなに落ち込んでも思わず笑ってしまう所を私は何も感じられずペラペラとページを進めてしまう。


ページまくりにはつまらなさと焦りがあった。
何でこんなにつまらないのか、何でこの漫画がつまらなくなってしまったのか、私はストレスを感じながらも必死にいつものような気持ちいい笑いをしようとするが、込み上げてくるのは焦りであって決して笑いではなかった。


何故こうなったのかという理由は既に知っていた。だが、今の私はその理由を考えたくは無く必死に他の理由は無いかと頭の中で探る。
店内の音楽がまるで私を煽っているような気がしてたまらなかった。


今私はコンビニで立ち読みをしている。色々と個人の事情で警察の方で事情聴取され、そのストレスを癒すために漫画を読もうと来たのだがその効果は無に等しかった。