瑠璃の雫





先生が丸をつけたのを見てわたしはまた外を見た
飛行機雲は消えていた




















「終わります。」



気づいたら授業は終わっていた
授業間の10分休み

「松坂さんすごいね!」
「あの先生いっつもあんな感じなのスッキリしたよ」
「すごい!」

高等科から入った人たちなのか名前がわからなかった
「ありがとう。」
にこりと笑ってみる
「松坂さん次体育だよ!
行こう!」

「うん。」

押しの強さに負け体育館まで一緒に行った
「ねえ松坂さ「璃香……」

「ん?」「璃香でいいよ。」










「じゃあ、璃香!
璃香はなんで休んでいたの?」

頭が重くなった
だけど体は宙に浮いているかのように自由が効かなくなる
目の前が暗くなった




「璃香っ!」

話しかけてきた彼女の声がした




















ーばか…。



その声はいつもの彼女のものだった

白い天井
白い布団
白い枕
白いベッド

独特な香り
保健室だ

「あら、目が覚めた?」

白衣を着た老教師
窓からさす陽は南にあった
お昼…

「さっきまで斎藤さんが付いていてくれたのよ。」





ー笑心















「気分はどう?」

「大丈夫です。」

「そう。
教室戻る?
それとも早退?」

「教室に戻ります。」







靴に足を入れ体重をかけた
ふらりとすることはなかった


制服がシワシワだ


バフバフト叩くがそれは伸びなかった
ぼさぼさになった髪がピカピカの窓に反射した
手櫛でささっと直す