瑠璃の雫




どっち…









「右。」



聞いたことのある声だった
振り返ると金色の丸い瞳がこちらを見ていた
くりくりとした茶色い髪の毛を耳の上で2つに束ねた彼女
その変わらない姿に涙が出そうになった














抱きつこうとしたが彼女はするりとわたしの腕を抜け左の席に座った
がら
長身の若い先生が教室に入ってくる
室内は静かになった



少しの間目があった
彼は一度逸らすとすぐにまた私を見た















「じゃあショート始めるよー。」


わたしは外を眺めていた
窓際の彼女のことも










「松坂さん
少し大丈夫かな?」

あの若い先生がこちらを手招きしていた
「はい。」
連れてこられたのは白い部屋

「もう大丈夫なのかい?」

先生は全部知っているようだった
「大丈夫です。」

「お兄さんのことも
病気のことも」






「ええもう大丈夫です」














「大丈夫です…」

最後に出した声は弱々しかった














「良かった。
早速で申し訳ないけどもう学校が始まって半年が経っているんだ。
前期が終わってテストも二回終わっているんだよね。
流石に進級テストがトップの成績でもカバーしきれないから明日、テストを行います
これが課題」


山積みになったプリント。

「これっていつまでですか?」


「明日だよ!」

すごい爽やかな顔ですごいこと言ったよ先生
「わかりました。」
プリントを抱えて部屋を出た
教室ではもう授業が始まっていた