待ち合わせ場所に着くと、細身の腕時計をチラリと見る。

待ち合わせ時間まであと5分程ある。


高崎さんはまだ来てないか…?


辺りを見回すが、それらしき姿は見えない。

というより、私服を見たことがないから服装や髪型から推測することが出来ない、という方が正しい。


すると。


「と、遠野さんっ…!」

後ろから突然声をかけられる。

この気弱だけど通った声は、高崎さんだ。


「高崎さん、おはよう」


くるりと振り向いて笑顔をつくると、予想通り、高崎唯が緊張した面持ちで立っていた。



高崎さんの私服はーーーよく言えばシンプル・イズ・ベスト、悪く言えば地味…。といったところだった。


スタンダードなジーンズにTシャツ、薄手のカーディガン。


ダサいわけでは無いけれど、華やかさが欲しい。

普段着には良いけど遊びに行く格好、美容院に行く格好としてはもの足りない。

といったところ。




髪切り終わったあと、オススメのブランドの店とか連れていってあげようかな。