「遠野さん………どうかした?」
その声、喋り方は間違いなく高崎さんだ。
「高崎さん」
私は真面目な顔になり、神妙な声音を作った。
「なんでしょう…?」
高崎さんが恐る恐るといった様子で尋ねる。
「…ったいない」
「え?」
私が呟くと、高崎さんは戸惑いながら聞き返してくる。
「もったいないよ!!!なんで前髪で顔隠しちゃうの。凄い美少女なんだから、絶対見せた方が良いって!」
「え、ええ…?」
「よし、決めた。今週の日曜日、一緒に美容院行こう。オススメの場所あるから。ね?」
「う、うん…!?」
「じゃあ決まりね!」
半ば強引だけど、こんくらいじゃないとやらなさそうなんだもん。
仕方ないよね?
