「私のは?なに?」
そこでハッと気付き、言葉を止める。
「…なんでもない。だいたい、一ノ瀬くん私に自意識過剰とか言ったけど告白と勘違いしてきたり、こんな壁ドンとかしてきたりよっぽど一ノ瀬くんの方が自意識過剰じゃない?」
「はぁ?」
「でも私、確かに自意識過剰だよ。だってそうだもん」
私が誘惑して乗ってこなかった男はいなかった。
「一ノ瀬くんも、私に惚れさせてあげようか?」
ぐいっとネクタイを引き寄せ、顔を近付けて囁く。
「…はっ」
一ノ瀬は鼻を鳴らして笑うと
「俺、絶対にお前に惚れないけどな。
何があっても。…世界が逆向きに自転しても」
ときっぱりと言い切った。
