貴方の残酷なほど優しい嘘に

誠が私の家に来た次の日から、私達は少しずつ新しい部屋に荷物を運び始めた。そして私達の同棲生活が始まった。

一緒に暮らし始めて初めてわかる事とゆうのは多い。まして、付き合い始めてから日の浅い私達は尚更だった。

まず、誠は心配性だった。それはきっと亡くなった彼女の影響だろうが、とにかく彼は連絡を欲しがった。たった一言のメールでも良く、私が無事だと分かればいいらしい。だから、私は帰った時と出かける時は必ずメールを入れた。

『ナツコとご飯行って来るね』

『ナツコって言われても俺、誰かわかんないよ』

そんなメールをやり取りした。

次に睡眠時間の短さ。仕事で家に帰って来るのが遅い所為もあるのだろうが、誠は3時間ほどしか寝なかった。

「無理して朝見送らなくてもいいよ?」

そう言った私に彼は「少しでもゆかさんの顔が見たいんだ」と、笑顔で言った。

そんな嬉しい事を言われると反論出来ない。

それと、誠はだらしなかった。服は脱ぎ捨てるし、本は部屋中に散らばっていた。この事は私の中でかなり意外だった。もちろん私の勝手なイメージだが、きっちりしているんだろうと思っていた。

最後に、これは当然と言えばそうなのだが、2人で暮らし始めた最初の日。私達は初めて身体でお互いを確かめあったのだが、それから毎日のように誠は私を求めた。そして、私はそんなに若くはなかった。嫌なわけではない、純粋に体力の問題だった。

誠は16歳なのだ。




一緒に暮らし始めて、4ヶ月が経ったある日の事だった。12月の忘年会シーズンで誠は朝から夜中まで仕事、それも休みも無く。

だからではない、その所為ではない。でも、『寂しい』と、誠に言えるほど私は純粋では無く、『大丈夫』と、自分を支える事が出来るほどに強くもなかった。

私は、その日に鳴った電話を取ってしまった。

『1回だけ、10分、いや5分でもいい、頼む!』

4ヶ月半振りに聞いたその声は、私が嫌だった横柄さも、余裕も無かった。電話は元彼からだった。

【私は今、同棲してる彼がいる。もう連絡して来ないで】

それで、今度こそ本当に終わる。こんな風に電話に出て、後ろめたく思う事もない。

電話を切ってから私は誠に『友達とご飯行って来る』と、メールを入れた。私は誠に嘘をついた。

会って、直接話してケジメをつける。

忙しいのか、誠からの返信はなかった。

クローゼットからコートを取り出して腕を通した。外に出ると、突き刺すような冷気が肌を刺し、私は身震いをした。



私が帰った時、部屋は真っ暗で誠はまだ帰ってなかった。正直助かったと思った。今、普段通り誠と話せる気がしない。避けるように私はベッドに入った。

翌朝、起きると誠の姿はなかった。携帯を見て見ると『ごめん、今日も朝から仕事出なきゃ行かないから先に行くね』と、メールが入っていた。