熱狂した人生初ライブも終わり、私は朱莉が碧翔くんの妹だという立場を利用させてもらい、裏のスペースに入らせてもらっていた。


あー、もちろん朱莉も一緒だよ?笑



「今日は来てくれてありがとう。おかげで俺たちもいいライブできたよ」



碧翔くんが額に浮かぶ汗をタオルで拭いながらそう言ってくれた。



「そうだ、せっかくの機会だし俺たちの正式な紹介をさせてよ。
えっと、あのメガネがドラム」


「青島柳(アオシマ ヤナギ)ばい!
ドラムやっとーよ、ヤナって呼びんしゃい。どんどん話しかけてくれや!」


メガネくん博多弁?!


博多弁って日本で1番かわいい方言なんだっけ(勝手に思ってる)?男子にも似合う人は似合うねぇ。


博多弁とか青みたいじゃん…!


「黄色の目したやつが、べースで」


「…千茅葵生(チガヤ アオイ)。…ベースで、黒猫。よろしく…ね…」


うとうとしながら喋る葵生くん、かわゆす。疲れちゃったのかな。


ベースを抱きしめながら寝そうなところからして、本当にベースが好きなんだろうね。


「んで目元に切り傷があるやつがギター。」


「蒼井臨(アオイ リン)。ギター」


蒼井臨とは言えども、やはり昔の臨とはかけ離れている印象しか持てない。


こんなに冷たいやつだったっけ…


「てかてか!!あーりんと葉月って幼馴染なんでしょ?」


朱莉が今とても聞いて欲しくないことを口にした。


「え?そうなの、早く言ってよ」


にやにやしながら碧翔くんも悪ノリする。


ほんとやめて…


ただ、腕に傷があるからやっぱり臨なのかな…


もし覚えてたら、何か言ってくれるのかな…


と、どうでもいい思想が脳内を駆け巡る。


「…は?こんな奴知らねぇ。人違いじゃねぇのか」


臨の口から出た想像を絶するような言葉で、私の思想は捻り潰された。