「どーぞ」
「…おじゃまします」
俺の家はマンション
芽衣や倉岡と同じような造りのごくごく普通のマンション
なのに…―
「広ーい…ッ!!!!!」
「え?」
「やっぱり違うんだね…壮介は」
「違うって何が?ってゆうか芽衣も同じようなとこに住んでんじゃん」
「私のとは全く違うよ。階数がまず倍以上だし、部屋だってこっちのが十倍は広いよ。」
「十倍って…」
芽衣は目を輝かし、楽しそうに言う
会った時より顔が明るくなって、いつもの芽衣に戻ってるのに気付き、ホッとしてる自分がいた
「どこでもいいから座って。なにか飲み物もってくる」
「あ…私はいいよ」
「遠慮すんなって」
「…‥うん、ありがと‥」
やばい‥
芽衣の顔がまた暗くなった
その度に不安になる俺はどうかしてんのか‥?
いや、ここは冷静に‥
だって俺、何もしてねぇもん
‥…だよな?
冷蔵庫の中にある飲み物を全部出し、芽衣が好きそうなのを選んだ
コーヒーとか紅茶とか自分で作らねぇから缶のジュースを二個持ち、芽衣の待つリビングまで急いだ
「ありがとう」
「それ飲める?」
「うん。これ好き」
「そか。よかった」
芽衣の向かいに座り、一息おく
芽衣と目が合い、数秒の沈黙が続く
そして芽衣が口を開けた

