「ちぃちゃん家!?」 「家だよ。透流は?」 そう聞くと、一瞬だけ黙る。 私に怒られそうなときにする仕草だ。 「女の人のところなのね?」 うん、と気まずそうに答える。 「大概にしなさいよ。じゃあ、切るから」 待ってよ、だか何だか聞こえたけれど、そのまま切る。 透流の声を聞いているのは苦しい。 ここにいない、透流の声は。 私を苦しめるのだ。