結局のところ、私はその翌日からインフルエンザにかかって学校には行けず謝ることも出来なかったのだけれど、熱が下がった次の日に透流はやって来た。
うつるよ、とインターフォン越しに説得を試みたが、あまりにも透流の声が切羽詰まっていたので開けてしまった。
病気なんだから寝てな、と言う透流の言葉に甘えて、実際身体は辛かった私はベッドに入り、透流はお母さんが看病するときに使っていた横の椅子に座った。
「ちぃちゃんは、あの人のことが好きなの?」
「違うよ」
「じゃあ何で?なんであそこに二人でいたの?好きな人でもないのに、寒い中一緒にいるとか。俺には分かんないよ」
「呼び出されたからだよ。だって──」
「俺は、ちぃちゃんが好きだよ」
あまりのことに愕然とした。
それと同時に、嬉しさが込み上げてくるのが分かった。
ああこれが好きってことなんだ、と思った。
「俺はちゃんと、恋愛感情としてちぃちゃんが好き」
そのとき、私は何て言ったのか覚えていない。
ただ、透流が嬉しそうな顔をしていたのは覚えている。
そして私たちは、お互いに初めてのキスをした。
熱くて、甘くて、これ以上ないってくらいに幸せなキスだった。


