いつ何を言われるか分からずに、心を凍らせて町を歩いていた今までとは違うんだ。
もう、怯える必要はない。
彼らが、側にいてくれるから。
「あのな。楽観的なのを長所と言えるのは、俺に迷惑をかけないレベルだったらの話だ。すぐに色んなことに首を突っ込んで…少しは尻拭いをする俺の身にもなれ!」
後ろでくどくどとランバートに愚痴を言っている様子のイヴァンさんをちらり、と振り返る。
そして私は、目を疑った。
何度かまばたきをしてみるが、景色は変わらない。
「だいたい、お前は本当に人間なのか。自由すぎるにもほどがある。この際だから言わせてもらうが……」
「あの、イヴァンさん…」
恐る恐る声をかけた私に、イヴァンさんは「何だ。コイツを擁護したって無駄だぞ。」と低く唸る。
私は、ぶんぶんと首を横に振って、少し躊躇しながら彼に伝えた。
「ランバートが、いないけど…」
「何ッ?!」
ばっ!と横を見たイヴァンさんは、隣にいるはずの青年の不在に今気づいたようだ。
ずっと、空気に説教をしていたことを察したイヴァンさんは、ぐっ、と眉間にシワを寄せ、怒りに震える。
「くそ、俺としたことが…!またはぐれやがってあの自由人…!」



